2017年3月アーカイブ

 教祖誕生 プロット

 教祖誕生 プロット
1 青木 広島から上京、いくつかの仕事を転々とした後、自分で会社を起こすも、あえなく倒産。失意のどん底でマルクスの資本論に出会う。以後、徹底した共産主義者となる。ソビエト・東ヨーロッパが崩壊した現在でも、やがて資本主義が行き詰まり共産主義革命が起こると信じて疑わない。山谷の浮浪者は資本主義の犠牲者であると信じる。
「神が存在しないからこそ人間の手によって素晴らしい社会を作らなければならない」と信ずる。
2 佐々木 かつて共産主義者だった。朝日新聞記者。大学時代、唯物論にドップリ浸かる。唯物論者であるため神の存在を信じない。しかし娑婆においてアマイ汁を吸えないことには何の意味もないとして次第に共産主義を馬鹿にする。ベルリンの壁が崩壊した今、共産主義は信じていない。しかし唯物論は捨てていない。「我あり、故に我思う。この世に神は存在しない、だから見つからなければ何をしても構わない」。
3 山田 女 中卒。難しいことを言われても何ひとつ分からない。事故により足の不自由な母と十二歳、年の離れた弟がいる。父は山田の進めで三年前に離婚した。酒乱で酔うとすぐ暴力を振るう男だった。ひょんなことから女優になる。「難しいことは分からないが母と弟に楽な暮らしをさせてやりたい」と願う。カネのため風俗嬢になるとしたこともあった。しかし年齢が当時まだ17歳だったため、どの店でも断られる。未成年、特に18歳以下を使うとヤバイからだ。
4 長渕(小川英二)二十代後半まで売れなかった歌手。芸能界の色んなしがらみが襲いかかる。三十歳丁度で離婚、絶望。どん底で身体を壊し入院。俺は俺だ、と開き直る。京都に本山を置く、天地(あめつち)教にはまる。二年後に再婚。幸せな家庭生活を送る。曲も大ヒット、ミリオンセラーとなる。ヒットチャートも十三週連続一位。主演ドラマも高視聴率。役者としても開眼。離婚の後、山田と再婚。
子供に言う。「神様が見ているから悪いことしてはいけない」
5 福田 身長180cmの大男 大男の割に気が小さい。
 宗教をビジネスとして捉える。九州の定時制高校を卒業後上京。
大手電気メーカーの工場で働く。数年後に家電メーカーとして独立。自社ビルを建てるところまで会社を発展させる。丁度そのころ新聞が若手経営者の特集を組むので取材さて欲しいとやって来る。「奇跡の会社誕生」などと書かれる。福田は有頂天になる。
しかし手形詐欺に会い会社は倒産。
 身なりの良い紳士。最初の取引はうまく行く。やがて何回か取引の後に、今までの十倍の金額の取引を持ち込まれる。今回の取引で商品をトラックに積み込み搬送する。やがて手形の期日が迫るが手形が落ちない。手形交換所から付箋がついて送り返されてくる。相手の事務所に乗り込むが既にもぬけの殻。仕入先への支払いが出来ず倒産。四畳半のアパートへ逆戻り。毎日、債権者が押しかけてくる。債権者会議で債務者に支払の説明らしきものをするが予定は全く立たない。それまで特定の宗教を信じたことはなかったが、今回のこの一件で神にすがりつきたい気分になる。富士山に本山を置くXX教の信者になる。その教えは神は慈悲深い存在であるから人はどんな罪を犯しても許される。「神は慈悲深い存在である。神は全て導いてくれる。だから人は特に努力をする必要もない。人がするべきことは、ただ神にすがりつくこと。許しを乞うこと。神は存在する故に人は何ゐしても許される」。    
教団の体質として"財務"と呼ばれる寄付、カネ集めに精を出す。より多く"財務"をしたものが教団内部で上に行けるようになっている。何かにつけて寄付を強要される。香炉、数珠、線香、教本、新聞、書籍、仏壇、掛軸、壺、・・・。仏壇や掛軸は単価が高くひとつ売るごとの儲けが大きかった。線香は単価は小さいが消耗品で毎日使い、灰になるたび買わなければならないのでこれもまた儲かった。新聞や書籍は教祖の美談ばかりだった。    狂信的集団の常として社会に害悪をばらまく。「神は存在する。故に人は何をしてもその運命から逃れることはできない。全て神に任せておけば良い。人間の自助努力などというものは全て無駄である」。
6 寺の住職とその息子。息子は大学時代に赤化した。大学は仏教系に私立。

7 走れメロスのような爽やかな読後感のあるもの。

ダンシング・オールナイト(仮題)

ダンシング・オールナイト(仮題)
 再会             
 再会の神戸
 震災?              原田武彦

 接待でソープを使うのは、これで何回目だろう。「飲ます」「握らす」「抱かす」は接待の王道だ。もっともこんなものに王道もへったくれもないだろうが。
 私、こと野上俊男は一部上場の製薬会社、新日本製薬のセールスとして半年前に東京から神戸に転勤してきた。私は生まれも育ちも東京である。今まで箱根の山を越えたのは一度だけ、中学校の時に修学旅行で京都に行ったくらいだ。
 慣れぬ関西弁に囲まれながらも何とか成績を出そうと努力をしてきた。大阪道修町に本社を置く各社、武田、シオノギ、田辺、藤沢、  、江戸時代からの歴史を持つ、これらの会社に大きく水を開けられながら、本社から何の支援もないままに孤軍奮闘してきた。
 やはり、彼らは関西を地盤とする企業だけあってこの地域ではなかなか強い。
 医薬品メーカーのセールスは大概、開業医と大病院で担当が別れているものだが当社もその例に漏れない。私は大病院の担当である。大学卒業後、この仕事について早、七年が経つ。ぼちぼち私も三十だ。実家の母親は先日、見合い写真をまたもや送ってよこした。傷心の痛手が冷めやらぬ私にはまったく価値のないものだったが。
 私はそんな傷を振り切るべく仕事に没頭する。今、手応えを感じているのは神戸市立医科大学の「ハゲちゃびん」こと荒木ドクターへの攻撃だ。四十五にもなって独身のこのドクターは日本人離れした黒い皮膚と東洋人丸出しの一重瞼、鋭い鷲鼻を持つ。髪は既に大部分が失われ、申し訳程度にある横の毛を無理矢理、右から左へ流している。気分の良い日は金歯の見える不気味な笑顔を周囲にふりまくことで看護婦、医局の若いインターン、MR、患者、すべてに怖れられている。
 カネに汚いことでも有名なこの男を落とすのに難しい技は必要ない。昔ながらの方法、飲ます、食わす、抱かす、この三つで充分だ。
 今日も震災から完全に復興したとは言いがたい福原の風呂屋で泡まみれにしてやるのだ。私も仕事とはついでにご相伴にあずかるという次第だ。
 普通、こういう場合、店のセッティング等はこちら側でやるものだが、荒木の場合はどこの店の何という女の子に予約を入れるかまで指示してくる。こちらは言われた通りにすればいいだけだから楽といえば楽なのだが、ここまで図々しいとウンザリしてしまう。しかし、そんなことをオクビにも出せないのがまた辛い。


 神戸に本社を置く卸、三星堂に何度も足を運ぶ。

  
 O大学病院の医院長、荒木
 すだれ禿げのバーコード頭、病院では白衣を着ているから、それなりにさまになるがプライベートで彼の着る服はおよそ港街神戸には似つかわしくないセンスだ。
(以下詳細)
 四六時中そばを食っているわけでもないのに、口からはいつもネギの臭いがする。

「野上くん、いつもすまないねぇ。キミんとこには世話になりっぱなしだね。まあ、この埋め合わせはいつかするから」
 そういうと荒木は金歯を見せて豪快に嗤ってみせた。ここがソープの待合室などいうことなど全然気にしてないようだった。
 


 接待でソープを使うのにも随分慣れた。    新日本製薬の名前で領収書をもらうのは最初は気恥ずかしかったが、今では慣れっこになってしまった。



 仕事とはいえ会社の経費で遊ぶのだ。悪い気はしない。赤いビロードに仕切られた待合室でサービスの煙草で輪っかを作っていると頭をオールバックにしたボーイが立て膝をついてビロードを捲り上げた。
「お待たせしました。イブちゃんです」
 ちゃんづけで呼ぶならいくつくらいの女だろうか。




 出てきた女はおそらくピルの副作用だろう。乳と臀が異常なほど張り出していた。いくら経費とはいえ、こんな女とカネ払ってやるのか。嫌だな。偽らざる野上の心境だった。
 女に手を取られ個室へ向かう途中、何気なく聞いてみた。
「ここには何人くらいの女の子がいるの」
 女は野上の胸のうちをすべて見透かしたように訊ねた。
「チェンジ? 」
 気を悪くしたのではないか。
「、あ、ああ」
 女は私の手を取ると踵をかえしフロントへ戻った。女は慣れたように受付のパンチパーマに言った。
「チェンジだって」
 感情の変化がある様子は見受けられなかった。
 私は再び赤いビロードのなかで待たされることとなった。据え付けられたテレビ画面には太股に刺青のある女が真珠を入れた男にやられる無修正のビデオが流れている。
 出されたウーロン茶をなめながら画面を眺めていると再びボーイが女のスカートをめくるようにビロードの仕切りをたくしあげた。「お待たせしました。まことちゃんです」
 私の足元では茶髪の女が膝をつき両手をついて挨拶をした。頭を下げているので顔は見えない。見えるのは茶髪の頭だけだ。傍にはキャップの部分がオレンジ色の蜂蜜容器のような形をした、中にローションの入っているのが見える容器がある。
 女は私と目を合わせることなく私の手を取り個室へ向かった。扉を開けるとピンクと赤を基調とした部屋だった。
 女はヒールを脱ぎスリッパに履き替えると私のスリッパを揃えておいた。
 


 一瞬、どきりとした貌をした。瞳孔が開いたのを私は見逃さなかった。


 高校の時の同級生、田中陽子に間違いない。卒業以来、数年経ってはいるが昔の面影は風貌のあちこちに残っている。


 着ているものを全部脱ぐとたたむでもなく、丸めるでもなく籠に放りこんだ。いつのまにか長い髪はアップにされ大きめのバレッタで無造作に留められている。うなじにほつれ毛がまとわりついてるのが妙に艶かしい。

 マット、アナル舐め、黙々と自分の仕事を続けた。一応一通りのプレイはしてくれた。




 自分のタワシで躯の隅々で洗ってくれた後、仰向けになった私の上に田中陽子は股がった。自分の手で私の凸を握り、自分の凹へと導いた。入れただけ、まだ動かしてもないうちからも田中の締まりは抜群だった。普段ならなかなかいかず、
「お客さん、延長します? 」
 訊かれる私が文字通り三擦り半で曝ぜてしまったのだ。
 これほどきつく締め付けられたのはいつ以来だろう。ぐったりしている私の凸からいつの間に被せたのか帽子を抜き取ると、まだ先端に残っている私の男汁を口で丁寧に拭き取ってくれた。流石にそれを飲み干すことまではしてくれなかったが充分に満足のいくものだった。
 その後、私はふらつく足元を抱えるように抱き起こされると陽子にぬるめのシャワーを浴びせてもらった。
 首筋から肩、肩から胸、胸から腹、腹から腰、腰まで来たところで湯を私の凸に浴びせながら、陽子は手で私の凸をゆっくりと揉みしだきながらも尿道に残っているタレをきつく絞り取った。
 出てきた汁を奇麗に洗い流すと                  

                


「どこから来たの」
「なんて名前?    」
 やたらしつこく訊いてくる。どうやら向こうも薄々感づいたらしい。はっきり本当のことを言ってしまっても構わないのだが、私は敢えて言わないことにした。向こうが源氏名を名乗り、嘘の経歴で仕事をしている以上、こちらも本当のことを言わなければならない義理はどこにもない。


 私の躯の上で淫靡なロデオを踊った。腰を8の字にグラインドさせる。


 子宮の体温を感じながら私はゆっくりと腰を動かした。



 女は男の凸を弄ろうと躯を下半身に移動させようとした。男は目の前にある乳房が自分の口から遠ざかろうとするのを見て強く執着した。男の求めているものを察した女は下半身へ移動しようとした動きをやめ、赤ん坊に乳房を含ませるようにして自分の躯を与えた。 男は求めていたものが手に入った様子で心ゆくまで乳房を味わった。
 女は自分の躯を与えつづけた。やがて腹一杯になった男はようやく乳房から口を離した。女は時間内にプレーが終わるかどうか、焦れるようにして男の下半身に吸い付いた。
 女の焦りとは裏腹に男は硬く起立はするのだが、なかなか曝ぜなかった。別に時間内にイカなくても一向に差し支えはないのだが、女は尚も男を口に含んだまま頚を動かし続けた。
 女は口の中で男が少しだけ膨張したのを感じた。次の瞬間、男の汁が口腔に溢れた。女は男に見えないように躯を起こしティッシュに汁を吐き出した。呑んでやると男は喜ぶのだが、そこまでする義理はない。男はそのままにして女は自分勝手にシャワーを使い始めた。男の唾液をひと通り洗い流すとようやく手を添えて男の躯を起こし洗いはじめた。ガソリンスタンドのアルバイトがおざなりにクルマを洗うような洗い方だった。
 時間はもう僅かしか残っていない。


「ねぇ、もしかして野上くんじゃない。わたしよ、わたし、ほら高校のとき同じクラスだった田中」




 まさかこんな形で会うとは思わなかった。私は知らぬ存ぜぬで通そうと思っていたのに向こうの方から名乗り出られてしまった。昔から少し大胆なところがある女ではあったが、私には理解不能だ。





「神戸の短大を出た後、しばらくこっちでOLしてたんだけど、買い物とかしすぎて首が回らなくなっちゃってねぇ、何となく軽い気持ちで始めたんだけど抜け出せなくなっちゃったの。収入が増えたら支出もまた増えるのよ。この仕事はじめて余計借金が増えちゃった」



 訊かれてもないのに何をこの女はペラペラ喋るのだ。




「もうこの歳でしょ。そろそろこの店でも置いてもらえなくなるのよねぇ」


 種々雑多な銘柄のタバコを入れたプラスチックの透明な箱には、前の客の残していった名刺が置いてあった。女も一応、自分の名刺を渡したという。
 源氏名の記された名刺と引き換えに本名の記された名刺を置いていったのだ。
 私は女に見つからないように、その名刺を自分のポケットに入れた。
 名刺から推察すると彼はレストランのオーナーらしい。
『今度、食べに来てくれ』
 と言い残していったという。
「行けるわけないやん」
 女は嗤って言った。
 まったくだ。



 女は股の間に傷口があった。縫い合わされることのない傷口は紅く爛れ、傷をつけられたゴムの樹のように樹液を垂れ流していた。私は舌で樹液を拭き取った。傷口を舌で消毒された女は軽く呻くような声をあげた。


 ヒモらしく首にはイミーテーションの金の鎖がぶら下がっている。
「どうや、客のほうは。今日は何本とった」
「うん、昨日と同じくらい」
「ほな、五本ぐらいか」
「まあ、そんなもん」
 少しだけ窓の開いたクルマには夜風が沁み込んでくる。


 ヤサにつくと男は女を丸裸にしようとした。女は抗って声をあげた。
「やめてよ、疲れてるんだから」
「ええやんけ」
 男の口からは安っぽいガムの果汁の匂いがする。男がガムを噛む
ときに発せられる音は挿入中の男女のような音を立てる。
 抵抗虚しく仕事中と同じ格好にさせられた女の下の口に男はガムを突っ込んだ。それを指でかきまぜるとと股の傷口からは涙が溢れた。男はそれをまた吸い出して口に含むといやらしく音を立てて噛んだ。口にたまった唾液を飲み干すとゴクリという音がした。
   
「エエ出汁、出とるやんけ」
 ガムといっしょに口の中に入った毛を歯と歯との間から引っぱり出すと、それも再び舌の上にのせて賞味した。
「オマエはエエ味の女や。ワシとやったらアソコの割れ目が横に入るでぇ」
 男は女の躯に攻撃を加えた。




 好みのタイプではなかったがチェンジはしなかった。面倒だからだ。
 肩に蝶の刺青があった。
 天井に据えつけられた鏡には全裸で為すがままにされている自分の姿があった。
 

 ごみ箱には中のものが見えないように深紅のバスタオルがかけられている。
 
 
 女は次の客のためにシーツを取り替え、濡れたバスタオルを慌ただしく包んだ。(くるんだ)
 
 タバコに火をつけ口元に近づけると女の残り香が匂ってきた。
 
 
 目の前に女の「商売道具」が覆い被さった。私は口の周りをローションまみれにして「商売道具」を貪った。紅黒く爛れてはいたが、指はなかなか入らず、とても狭いのが解かった。

 
 女、父の入院費。
 平賀のクルマにヤクザが乗る。(出会い
 ヤクザはタクシーに乗り込むなり、パーラメントに火を点けた。
「お客さん。スンマセン、このクルマ禁煙なんですよ。灰皿の上んとこにも書いてあるでしょ」
「アホンダラ、ワシゃ文盲と違うで。読み書きくらいできるわい。あ、禁煙なら何で灰皿つけとんじゃ」
「-え、」
「禁煙なら灰皿も外しとけや」
「オンドレはガタガタ抜かさんと、前向いて運転しときゃエエんじゃ! ドアホ」

 平賀のクルマに女が乗る。
 メンソールに火をつける。
(男は女のヒモ)
「スンマセン、禁煙なんですけど」
「じゃあ、何で灰皿ついてるの?    」
「ちょっと前にも同じこと言われましたよ。何でなんですかねぇ」
 平賀は意味のよく解らない笑みを浮かべた。
「アンタ、変わってるわねえ。私、これから出勤なんだけど遊んでかない。入浴料だけでいいわ」
「いくらです?    」
「いちまんえん」
「いいんですか」
「たまには気まぐれで生きてみるのもいいわ」
 平賀のクルマのサイドミラーには夜景が左右反対になって映っていた。

 本当に、入浴料だけで遊べた。



「私は真面目よ」
「股、売っとる女のどこが真面目やねん。客の求めに応じてバック、前から、上に乗って、何でもありやがな。今ごろ四十九手目までいってんちゃうか」
「とにかく真面目なの」
「どういうふうに真面目やねん」
「私は、わたしは  、プライベートのセックスでは正常位しかやったことないわ」
 男は大声で嗤った。













 その日は生憎、どこの店も予約で一杯だった。ドクターは少し機嫌が悪い。
「キミ、どこの店でもいいよ、早くしてくれ」
 仕方なく二級クラスの店へ連れていくことにした。
(室内描写)
 それでも三十分ほど待たされた。先にドクターが次に俺が中へ入れられる。
 どうしようもないデブだった。ヘソの下には横に妊娠線のような筋が入っている。
 こんな女とカネ払ってまでやらなきゃいけないのかよ。ぞっとしがカネは払ってしまった。いまさら帰るわけにはいかない。おそらくこのクラスの店なら他のコも似たようなもんだろう。飲み屋で酔った頭でも絶対にナンパしないタイプの女だ。



 四十代の男の欲望で脂ぎった尻の穴を舐めた。


 シャワーをいっしょに浴び、肉の塊を執拗に洗う。恥垢がびっしりとたまり爪を立てても全然とれない。
 脂ぎった尻はじれったそうに強引に奥へ入ろうとする。



 ボーイはベルサーチのネクタイをだらしなく首に巻きつけている。 

 少し躯がだるい。
 ←
 女は肝硬変になった。
 
 
 いったん引き上げた生活レベルを落とすことに我慢ならなかった。移動は必ずタクシー、欲しいものはバッグでも服でも絶対買う。
 
 
 女は男の前で手首を切った。少しでも気を引くつもりだったのかもしれない。
「手伝ってやろうか、左だけじゃなく右も」
 男は冷たく言い放った。



 ハゲは足の指の間まで舐めまわした。


 高校の同窓会の通知はがきが来ていた。
 ←
「オマエのとこにも来てたろ」
「来るわけないじゃない。今の住所は親だって知らないわよ」
「そうか、で、出るのか」
「ハガキ来てないんだもん。行かないわよ」
「そんなこと言わず来いよ」
「一緒に行ってくれる?    」
「もちろん」
「なら、行こうかなあ」
 
 
 

(ストリップ劇場)

  
 華やかに演出された舞台の上、ピンスポットを浴びた女が懸命に女蔭を開いていた。ピンスポットは女の乳房や女蔭だけではなく臍の下に深く刻まれた妊娠線にも光りをあてていた。あの女の哀れさは俺と同じだ。
 
 
(喫茶店)

ヒモ ウェイトレスに向かって
「冷珈(レーコー)ひとつ、フレッシュたっぷり入れて」
オンナ
「こっちじゃミルクのことフレッシュって言うのよね」
「それがどないしたん」
「え、別に」
「こっちに来たときはすべてが珍しかったわ。何もかも。でも今はすべてが燻んで見える。色盲になったみたいに」
 ヒモ
「ネェちゃん、やっぱりホットにして」


 九蓮宝燈の女

 国道沿い、二十四時間営業のゲームセンターではケンジが機械の中の女を相手に麻雀をやっていた。店の奥の方ではトラック運転手と思しき中年男がスポーツ新聞を広げながらカップラーメンを啜っている。
(奥のほうでは茶髪が大音量の8ビートと画面に合わせて踊っている。二階からはビリヤードの玉を突く音が聞こえる)
 ケンジはポケットのなかの百円玉をまさぐりながら、これでいくら突っ込んだのか思い出そうとしていた。だがクスリを食った頭ではいくら突っ込んだのか、どれだけ時間がたったのかも判然としない。
 ケンジは曇った頭を少しでもすっきりさせようとラッキーストライクに火をつけた。ゲーム機の横に置かれた灰皿はすでにラッキーストライクの吸殻でいっぱいである。
 煙草に火をつけようと画面から少し目を離したすきに画面の中の女が瞬く間にリーチをかけ七対子を上がった。画面上には、
『七対子 二飜    2900』となり、ケンジの持ち点がなくなった。画面の女は「お願い、もっと」とねだり、表示は『CONTINUE?』に変わった。「9、8、7、6、     とカウントダウンを始める。ケンジはあわててポケットをまさぐり百円玉を追加した。
「チャリン」という音とともに女がわざとらしく微笑んだ。画面の中ではサイコロが振られ配牌が終わった。
 何回かツモり手牌をそろえるとケンジはリーチをかけた。リーチをかけると後はオートツモになった。ケンジはまたもや煙草に火をつけた。
「ロン」
 コンピューターの音声がする。画面には、
「立直    一発 ドラ4 六飜 跳満 18000」と出た。
 画面の中の女が服を脱ぎ出した。下着一枚だけになって腰を振って踊っている。
 画面に見入っていると煙草の灰が床に落ちたがケンジは気にとめる様子もなかった。
 画面は女が腰を振り終わり、次の南場だった。ツモ切りのNボタンを押したケンジの右肩を誰かがたたいた。
「オウ、久しぶりやないか」
 福島組の若頭の福井だった。福井はうだるような熱帯夜だというのに長袖シャツを着ている。シャツの袖をまくると見事な刺青が見えるのをケンジは知っていた。
「あ、どうも」
「生身の女に相手してもらわれへんからビデオの女か」
「いや、そういうわけではないんですけど」
「麻雀なら組の若いモンとやれや。機械相手にやってもおもろないやろ」
「いえ、自分は下手なんで」
 あまり上手い言いわけとは思えなかったがケンジは取り繕った。
『断    ドラ2    四飜 跳満 12000』
 画面を見ると話している間に取られてしまった。

 立直門前自模    ドラ1    三飜 


 ケンジはハッパをきめるため便所に入った。大の方に入ると内側から鍵をかけた。洋式ではなく和式なのでとりあえずしゃがんだ。、目の前のタイルには、「トモミとセックスした」とか女性器の度アップが落書きしてある。
 手早く紙に巻き、両切りにして火をつける。煙は煙草のようにすぐには吐き出さず胸の奥にしばらくためる。ハッパが脳髄に廻ってきた頃にようやく吐き出す。ふと下を見ると空缶の蓋を切ったものが灰皿として置かれていた。ケンジは根元まで吸ったマリファナを便器に放り、脚で水洗ペダルを蹴った。水が勢いよく流れ、ハッパの残りかすは下水に流された。
 外に出ると生暖かい、熱帯夜の空気が肌を汗ばませた。ケンジは愛車のキーを取り出しエンジンをかけた。真紅の二百五十ccに跨がるとジーンズの生地を通してエンジンの鼓動が伝わる。絶頂のときの女の心臓音のような気がした。
 ケンジはヘルメットを被るとギアを入れた。徐々に速度を上げていく。カウルのないネイキッドタイプなので風がまともに躯にぶつかる。今日みたいに気持ち悪い熱帯夜にはこのくらいの風でもまだ物足りなかった。
 ライトに吸い寄せられた虫がヘルメットのプラスチック透明部分にあたる。ぶつかる瞬間に「コツン」と小さな音を立てる。

 女、会社の上司にセクハラの嫌がらせ、買い物依存症、借金苦、風呂、自律神経失調症


 なぜか、エレベーターではなく階段を歩きたい気分だった。

 女はマンションの階段の踊り場で立ちすくんでしまった。躯から力が抜ける。その場にしゃがみこむと両手で顔を覆い、声をあげて泣きはじめた。
 
 運転免許証の住所の欄には〈神戸市長田区XX町7-6-89木口荘102号室とある。さらにその横の電話番号の欄には078-XXX-XXXX(呼)とある。
 女は最初(呼)の意味が解からなかった。やがて呼び出し電話のことだと理解するには多少の時間を要した。住んでいる場所といい、(呼)といい、彼のおおよその暮らしぶりは想像がついた。
 今時、呼び出し電話で生活しているものなど珍しいだろう。


(ラスト)
 ライブハウス、心の渇く夜を唄う。
 客はまばら。一番前のテーブルに野上、ヤクザ、ソープ嬢が座る。 野上、「いい曲じゃねぇか」
 唄い終わるころには、テーブルに置かれた水割りのグラスの氷は溶けていた。中身も半分ほどに減っている。


 俺はガキのころから、ずっと一人ぼっちだったから今度犬でも飼おうと思うんだ。

 何度も死ねなかった。

 なけなしのゼニにまみれた、あん日の夜。
 俺は生きるためにブタになったのだから。

 俺はガキのころから、ずっと負け犬だったから似た者同士のおまえと傷口を舐めあうのさ。
 
 俺の足を引っぱった貧しき魂たちよ。

 ~ためにはタクシーと女がくっつかなければならない。

 岡林(長渕バージョン)
 平賀(けん蔵バージョン)
 詩はまったく同じ、曲が違う。

 平賀は『心の渇く夜』を唄った。ヒットしたのは岡林の作曲したものであったが、今ここで自らの作曲、作詞による『心の渇く夜』を唄った。
         

 

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